結婚相談所での活動は、理想の相手と出会い、結婚を前提とした関係を築くための有効な手段です。
しかし、成婚退会後に「思わぬ成婚料の請求を受けた」「成婚の基準を誤解していた」などのトラブルが発生することがあります。
これらは事前の確認不足や契約内容の理解不足が原因となることが多く、慎重な対応が求められます。ここでは、成婚料に関するトラブルを避けるための重要な確認ポイントを解説します。
成婚の定義を契約で明確に
結婚相談所における「成婚」という言葉は、一般的な「婚約」や「結婚決定」という意味とは必ずしも一致しません。
相談所ごとに独自のルールがあり、場合によっては本人の意識と大きくズレていることもあります。成婚料トラブルの多くは、この定義の食い違いが原因です。
1. 相談所ごとに異なる成婚の基準
実際の例として、成婚扱いになる条件には次のようなものがあります。
- プロポーズを受け入れた時点
婚約指輪や正式な結婚の約束がなくても、口頭での了承で成婚とみなされるケース。 - 交際期間が一定期間を超えた場合
例:真剣交際に入ってから3か月が経過したら、自動的に成婚扱いとする規約。 - 宿泊を伴う旅行や同棲開始
婚約の意思確認がなくても、婚前交渉や生活の共有を理由に成婚と判断される場合。 - 親への挨拶や両家顔合わせの実施
形式的な結婚準備が始まったと判断されるタイミング。
2. 判断権が誰にあるか
成婚とみなす最終判断は、本人の意思よりも「相談所の判断」で決まることがあります。
契約書の中には次のような記載がある場合があります。
- 「成婚の認定は当社が行う」
- 「当社が成婚と判断した場合は異議を申し立てられない」
この場合、本人はまだ結婚を決めたつもりがなくても成婚料が発生することがあります。
【契約書で確認すべきポイント】
- 成婚の定義が具体的な行動や期間で明記されているか
- 曖昧な言葉(「結婚を前提とした真剣な交際」など)だけで終わっていないか
- 成婚の判断権が誰にあるのか(本人・双方・相談所)
- 成婚扱いになる特例(宿泊、旅行、同棲、親への挨拶など)が書かれているか
【トラブルを防ぐための行動】
- 契約書や重要事項説明書の「成婚」の項目を読み、具体例を質問する
- 相談所担当者の説明内容をメモまたはメールで残す
- 不安な条件は、入会前に削除・修正を求める
成婚料の金額と発生条件
成婚料は、結婚相談所の活動において大きな金額が動く最終ステップです。
しかし「思っていたより高額だった」「まだ結婚を決めていないのに請求された」というトラブルは少なくありません。その多くは、入会時に金額や条件を正確に理解していないことが原因です。
1. 成婚料の金額の相場
結婚相談所の成婚料は相談所の規模やサービス内容により幅があります。
- 大手連盟加盟型:10万〜30万円程度
- 地域密着型・個人経営:5万〜20万円程度
- 高級仲介型:50万円以上のケースも
注意すべき点
- 税込か税別かを必ず確認(税別表示で後から消費税分が追加されることも)
- 振込手数料が自己負担の場合もある
2. 成婚料が発生するタイミング
成婚料は「成婚日」または「成婚認定日」を基準に請求されることが多いですが、その判断基準は相談所ごとに異なります。
- プロポーズを受け入れた時点
- 真剣交際開始から一定期間(例:3か月)経過
- 宿泊を伴う旅行や同棲を開始
- 親への挨拶や結婚準備行為の実施
- 他の相談所会員との交際継続が確定した場合
3. 交際解消後でも請求される場合
「成婚とみなされた」後に破局しても、原則として成婚料は返金されません。
また、契約によっては交際解消後でも成婚料を請求されることがあります。
- 成婚扱いとなった翌月に破局しても返金なし
- 宿泊旅行で成婚認定されたが、その後破局しても請求発生
【契約書で確認すべきポイント】
- 成婚料の正確な金額(税込か税別か)
- 支払い期限(成婚日から何日以内か)
- 成婚料が発生する条件の具体的な列挙
- 例外条件(破局時の返金有無、災害や病気での中止など)
- 他相談所会員と成婚した場合の精算ルール
【トラブル防止のための行動】
- 入会前に「もし○○の場合は成婚料がかかりますか?」と具体例を出して質問する
- 担当者の口頭説明だけでなく、契約書や重要事項説明書に明記してもらう
- 不安があれば入会前に修正・削除を依頼する
成婚退会後の返金制度の有無
結婚相談所で理想の相手と出会い、成婚退会を迎えることは活動のゴールです。しかし、残念ながらその後に関係が破綻してしまうケースも存在します。
そんなとき、多くの人が気になるのが「成婚料は返ってくるのか」という点です。この返金制度の有無や条件は、相談所ごとに大きく異なり、事前確認が欠かせません。
1. 返金制度は原則なし
多くの結婚相談所では、成婚料は「成婚という成果」に対して支払う成功報酬と位置付けられています。
そのため、成婚退会後に破局しても返金はないのが一般的です。理由としては以下が挙げられます。
- 契約で「返金不可」と明記されている
- 成婚料はサービスの成果報酬であり、その後の交際状況は契約の対象外
- 法的にも成果報酬型契約では返金義務が生じにくい
2. 一部相談所の返金制度
例外的に、良心的な相談所や差別化を図る相談所では返金制度を設けています。
- 成婚退会後30日以内の破局で全額返金
- 成婚退会後60日以内で半額返金
- 成婚料の一部を次回活動費に充当
ただし、このような制度には細かい条件が付きます。
- 双方が相談所に破局を報告すること
- 第三者的理由(家族の反対など)が明確な場合
- 再交際や復縁がないことの誓約
- 「返金制度あり」と説明されたが契約書に記載がなく返金されなかった
- 破局報告が遅れて返金期限を過ぎた
- 条件を満たしたつもりでも、相談所が「対象外」と判断
【契約時に確認すべき項目】
- 返金制度の有無を明記しているか
- 返金の条件(期限・理由・報告方法)
- 返金額が全額か一部か
- 手数料や振込の遅延があるか
【トラブル防止の行動】
- 入会前に返金制度の有無を質問し、回答を文書で残す
- 口頭説明に頼らず、契約書や重要事項説明書に追記してもらう
- 破局時は速やかに期限内で報告する
他相談所との成婚時の取り扱い
結婚相談所は、単独で運営している場合もあれば、複数の相談所が加盟する「連盟」に加入して活動している場合もあります。
IBJ・BIU・良縁ネットなどの連盟では、会員は加盟相談所をまたいでお見合い・交際ができます。
このため、「所属している相談所以外の会員と成婚する」というケースは珍しくありません。
こうした場合、成婚料の支払先や金額、精算方法について誤解があると、トラブルの原因になります。
1. 成婚料の支払い先
他相談所の会員と成婚した場合、原則として自分が所属している相談所に成婚料を支払うのが基本です。
理由は、入会契約を結んだ相手(自分の相談所)が活動サポートとマッチング機会を提供しているためです。
しかし、以下のようなパターンもあります。
- 折半制度
両方の相談所で成婚料を折半し、各会員からそれぞれの相談所へ支払う - 成婚料の取り決めが連盟ルールで統一
連盟によっては成婚料の上限・下限や精算割合が決まっている
2. 成婚料の金額と条件の違い
- 自分の相談所の成婚料が20万円、お相手側が10万円という場合でも、基本的には自分の契約条件が適用されます。
- 「どちらの相談所の成婚料が適用されるか」は連盟規約や事前取り決めによります。
3. 成婚の定義の相違
所属する相談所とお相手の相談所で「成婚の定義」が異なる場合があります。
- 片方はプロポーズ成立時点で成婚
- もう片方は両家顔合わせ完了で成婚
この場合、成婚認定のタイミングがずれる可能性があり、請求の時期に差が出ます。
4. 契約書で確認すべきポイント
- 他相談所会員との成婚時、成婚料はどこに、いくら支払うのか
- 連盟規約と自分の契約内容の優先順位
- 他相談所との交際における「成婚認定」の基準
- 成婚料以外の追加費用(連盟手数料など)が発生するか
- 「お相手の相談所にも成婚料を払う必要がある」と言われ、二重請求になった
- 成婚料金額について、両相談所の説明が異なり混乱
- 連盟規約と自分の契約書の条件が違っていた
【防止策】
- 他相談所会員との交際が始まった時点で、成婚料の扱いを事前確認する
- 連盟規約を入会時にコピーでもらい、自分の契約と比較する
- 成婚料精算の取り決めが契約書に明記されていない場合は追記してもらう
口約束に頼らない
結婚相談所との契約ややり取りの中で、担当者から安心できる説明を受けることは多いでしょう。
しかし、その説明が口頭だけで、契約書や重要事項説明書に反映されていない場合、それは将来的に大きなトラブルの種になります。
契約の世界では「書面に残っていない約束は無効」とみなされることが多く、口約束は証拠として極めて弱いのです。
1. 口約束が危険な理由
- 証拠が残らない
後日トラブルが起きた際、相手が「そんなことは言っていない」と否定すれば立証困難。 - 担当者交代で情報が引き継がれない
契約担当が変わると、口頭での約束はほぼ消失。 - 契約書が優先される
消費者契約法や民法では、契約書に記載された内容が原則優先されるため、口頭説明はほぼ効力を持たない。
2. 口約束でよくある内容
- 「この場合は成婚料はかかりません」
- 「もしすぐに破局したら返金します」
- 「活動期間は柔軟に延長できます」
- 「他相談所との成婚料は安くなります」
これらが契約書に反映されていないと、実際には請求されることが多いです。
3. 書面で残す方法
- 契約書への追記・修正
重要な条件は契約書の特約欄に記載し、双方署名捺印する。 - メールやLINEでのやり取り
契約担当からの文章として残しておく。 - 説明を自分でメモし、日付と担当者名を記載
後で証拠になる可能性がある。
- 入会時に「成婚料はいらない」と言われたが契約書に記載がなく、請求された。
- 返金対応の口頭約束を信じて成婚退会したが、破局後に「契約外なので不可」と断られた。
- 「延長可能」と言われたが、契約上は延長は有料だった。
【防止策】
- 契約時、口頭での説明をその場で契約書に追記してもらう
- 「説明してもらった内容をメールで送ってください」と依頼する
- 大事なやり取りはすべて記録に残す
- 曖昧な条件は入会前に修正してもらう

