結婚相談所を利用する際、入会金や活動費などの費用は決して安くありません。入会後に「思っていたサービスと違った」「事情が変わって続けられなくなった」というケースもあります。
そんなとき、途中解約や返金は可能なのでしょうか。本記事では、法律上のルールや返金条件、契約前に確認しておくべきチェックリストを詳しく解説します。
1. 途中解約や返金は可能か
結婚相談所は「特定商取引法」の対象となることが多く、条件を満たせば途中解約や返金が可能です。
クーリングオフ制度
- 契約から8日以内であれば無条件で解約可能
- 既に支払った金額は全額返金される
- 書面またはメールで通知し、証拠を残すことが重要
中途解約(クーリングオフ期間後)
- 契約期間中でも解約可能
- 提供済みサービス分の料金は支払いが必要
- 未提供分は返金される
- 解約手数料は上限が法律で定められている(2万円または残額の20%のいずれか低い方)
実際の返金対象
- 入会金は返金対象外の場合が多い
- 活動サポート費や未利用のお見合い費は返金対象になることがある
- 返金までに1〜2か月かかることもある
2. 契約前に確認すべきチェックリスト
契約書や重要事項説明書で、以下の項目を必ず確認しましょう。
- 料金体系(入会金・月会費・お見合い料・成婚料・支払い時期)
- 返金条件(計算方法や手数料の額)
- 契約期間と自動更新の有無
- 解約手続き方法(書面・メール・郵送など)
- サービス提供開始日と提供済みとみなされる基準
- 休会制度の有無と料金扱い
- 成婚料が発生する条件(婚約のみか交際終了でも発生するのか)
- 追加費用(写真撮影・イベント参加費・ファッションアドバイスなど)
- トラブル時の相談窓口(連盟や消費生活センターなど)
【トラブルを避けるための注意点】
- 契約書は必ずコピーを取り、保管しておく
- 口頭説明より書面に記載された条件を優先する
- 返金の計算例を事前に確認しておく
- 不明点はメールで質問し、やり取りを記録する
- 広告やウェブサイトの内容と契約条件の違いに注意する
目次
契約書は必ずコピーを取り、保管しておく
結婚相談所との契約では、料金や返金条件、サービス内容など、活動に関わるすべての重要事項が契約書に記載されています。
しかし、契約後に条件を確認したくなったり、解約・返金を求める場面が出てくることもあります。
そのとき手元に契約書がなければ、自分に有利な条件を証明するのが難しくなります。こうしたトラブルを防ぐためにも、契約書は必ずコピーを取り、適切に保管しておくことが大切です。
契約書を保管すべき理由
- 契約条件を後から確認できる
活動を進める中で「成婚料はいつ発生するのか」「休会は可能なのか」など疑問が出てくることがあります。契約書があれば、正しい条件をすぐに確認できます。 - 口頭説明との食い違いを証明できる
担当者の説明と契約書の記載内容が異なる場合、法的に有効なのは契約書です。コピーがあれば消費生活センターや弁護士に相談するときの有力な証拠になります。 - 解約や返金の際に必要になる
解約手続きや返金請求では、契約期間や返金計算方法を明確にするために契約書が必要です。相談所側から「契約内容に沿って対応します」と言われたときも、コピーがあれば即座に確認できます。
【実践的な保管方法】
- 原本の保管
契約時にもらった原本はクリアファイルや封筒に入れ、湿気や日光を避けた場所に保管する - コピーの作成
自宅用と別に、実家や信頼できる人に預けておくと安心 - デジタル保存
スキャンしてPDF化し、クラウド(GoogleドライブやDropboxなど)やUSBメモリに保存する
ファイル名に「契約日_結婚相談所名_契約書」と入れると検索しやすい
【注意点】
- 修正液や手書き加筆がある場合は、その場で理由を確認し、写真で記録する
- 相談所から「契約書は預かります」と言われた場合は必ずコピーをもらう
- 口頭での特典や条件も、契約書や別紙に記載してもらい一緒に保管する
口頭説明より書面に記載された条件を優先する
結婚相談所との契約では、担当者が親身にサービス内容や料金を説明してくれることがあります。しかし、後から「言っていたことと違う」というトラブルが起こるのは珍しくありません。
その多くは、口頭での説明と契約書の記載内容が食い違っていたケースです。法律上、契約で優先されるのは口頭ではなく書面の内容。
このルールを理解し、契約前に適切な対応をしておくことが、トラブル回避の鍵となります。
なぜ書面を優先すべきなのか
- 契約の効力は書面が基本
契約は法律的に「書面」が最も強い証拠となります。契約書に記載されていない口頭の約束は、後から証明が難しく、無効とされることもあります。 - 口頭説明は記録が残らない
- 担当者が異動・退職すると説明が引き継がれないことがある
- 記憶は時間とともに曖昧になり、誤解が生じやすい
- 録音していない限り、やり取りの証明が困難
- 「成婚料は交際成立後」と説明されたが、契約書には「婚約または交際終了時」と記載
- 「お見合い料は無料」と言われたが、契約書に1回5,000円と明記
→ いずれも契約書の内容が優先され、返金や条件変更は認められなかった
【実践的な対応方法】
- 契約前に必ず契約書を読み込む
落ち着いた環境で全文を確認し、その場で署名を迫られても持ち帰りを希望する - 口頭説明は必ず書面に残す
契約書に追記してもらうか、特約として別紙添付してもらう
メールで確認文を送り、返信を保存する - 不一致があれば修正を依頼
契約前に差異を訂正してもらい、修正箇所に署名・押印をもらう
返金の計算例を事前に確認しておく
結婚相談所を途中で解約する場合、「どれくらい返金されるのか」は非常に気になるポイントです。
しかし、契約書には返金ルールが書かれていても、その金額が実際にいくらになるのかをイメージできないまま契約してしまう方が少なくありません。
後になって「思っていたより返金が少ない」とトラブルになることもあります。これを避けるためには、契約前に必ず返金の計算例を具体的に確認しておくことが大切です。
なぜ計算例を確認すべきか
- 実際の金額感が分かる
「サービス提供済み分を差し引いて返金します」と書かれていても、具体的にいくら引かれるのかが分からないと安心できません。 - 手数料や控除額の影響を把握できる
中途解約の際には、法律で定められた上限(2万円または未提供分の20%のいずれか低い額)までの解約手数料が発生します。計算例を聞くことで、実際にどのくらい差し引かれるのかを把握できます。 - 「想定外の費用」を防げる
活動サポート費やイベント費用など、一度利用すると返金されない料金もあります。計算例を事前に確認すれば、返金対象外の費用が明確になります。
【実践的な確認方法】
- 契約前に担当者に依頼する質問例
「もし3か月後に解約した場合、どのような計算で返金額が決まりますか?」
「半年後に解約した場合の返金額を具体的に示していただけますか?」 - 計算例を必ず書面でもらう
口頭説明だけでなく、契約書の別紙やメールで送ってもらい、保存しておく - 複数パターンで確認する
3か月後、半年後、9か月後など複数の時期での計算例を聞くことで、解約タイミングの目安が分かる
【確認時のチェックポイント】
- 計算に使われる「サービス提供開始日」がいつか
- 返金対象外の費用は何か
- 解約手数料がいくらか、どの時点で発生するのか
- 活動期間の途中でも返金対象となるのか、または月単位での精算か
不明点はメールで質問し、やり取りを記録する
結婚相談所の契約内容やサービス説明は、料金体系や返金条件、成婚料の発生時期など細かく複雑な部分が多くあります。
その場で聞いた口頭説明だけを頼りにすると、後から「言った」「言わない」のトラブルに発展することも少なくありません。
こうした事態を防ぐためには、不明点は必ずメールで質問し、やり取りを記録として残すことが重要です。
なぜメールで質問すべきか
- 証拠として残せる
メールは送信日時、送信者、受信者、内容が明確に残るため、トラブル時の強力な証拠になります。 - 記憶違いや認識のズレを防げる
文章として残すことで、後から読み返して正確な条件を確認できます。担当者も文面で回答することで、より正確な情報を提供しやすくなります。 - 担当者が変わっても引き継ぎがスムーズ
婚活中に担当者が異動・退職することは珍しくありません。メール履歴があれば、次の担当者にも正しい情報を共有できます。
【実践的な方法】
- 質問はできるだけ具体的にする
「成婚料は交際成立時にも発生しますか?」
「休会中の月会費は発生しますか?その場合いくらですか?」
といった形でYes/Noや具体的数字で答えられる質問をする - 複数の質問をまとめて送る
何度もやり取りするより、一度に複数の疑問点をまとめて質問したほうが記録も見やすくなります - 返答は必ず保存する
受信したメールは、契約書と一緒にフォルダ分けして保管
重要な部分はスクリーンショットやPDF化しておくとさらに安心
「契約書には△△と記載されていますが、ご説明いただいた内容と相違がないかご確認ください」
こうした表現なら、相手に角を立てずにメールでの回答を促せます。
広告やウェブサイトの内容と契約条件の違いに注意する
結婚相談所を探すとき、最初に目に入るのはパンフレットやウェブサイト、SNS広告などの情報です。
そこには魅力的な表現や特典、割引などが記載されていることが多く、思わず入会したくなる場合もあります。
しかし、実際に契約書を確認すると、広告内容と条件が異なるケースも少なくありません。このギャップを見落とすと、「話が違う」というトラブルにつながります。
契約前に必ず広告・サイト情報と契約条件を照合することが重要です。
なぜ注意が必要か
- 広告は「魅力的に見せる」ための表現が多い
「成婚率〇%」「月額〇〇円から」などの数字や表現は、条件付きだったり、特定の期間やプラン限定の場合があります。 - 契約書が法的に優先される
広告やサイトに書かれていても、契約書に明記されていない特典や割引は法的には主張しづらくなります。 - 特典やキャンペーンに有効期限がある
入会金割引や無料お見合いチケットなどは、期限や利用条件が細かく設定されていることがあります。
- 広告に「お見合い料無料」と書かれていたが、契約書には「月2回まで無料、それ以上は1回5,000円」と記載されていた
- ウェブサイトで「成婚料0円」と宣伝していたが、実際には交際終了時に別名目の「活動終了費」がかかった
- SNS広告の「入会金50%OFFキャンペーン」が特定支店限定だった
実践的な確認方法
- 広告やサイトの情報をスクリーンショットや印刷で保存
入会を決めた理由になる情報は必ず記録し、契約時に提示できるようにする - 契約前に照合する質問例
- 「ウェブサイトに記載の〇〇は、この契約にも適用されますか?」
- 「この特典は契約書にも記載されますか?」
- 契約書に明記してもらう
特典や割引が口頭で説明された場合は、必ず契約書や別紙に書面として追加してもらう
【注意ポイント】
- 「〇〇から」といった価格表示は最低料金であり、条件を満たさないとその金額にならない場合が多い
- 成婚率や会員数の数字は計算方法や期間の基準が異なるため、契約条件とは直接関係しない場合がある
- 「無制限」「無料」といった表現は必ず上限や条件の有無を確認する