恋愛から結婚へとステップを進める中で、多くのカップルがぶつかるのが「生活の価値観の違い」や「役割分担へのすれ違い」です。
こうした問題を未然に防ぐために注目されているのが、「結婚生活準備講座」です。これは、結婚前にパートナーと共に将来の生活に必要な知識やスキルを学び、円満な夫婦関係を築くための実践的な講座です。
講座の主な目的
- 結婚生活における基本的な考え方や価値観を共有する
- 問題解決能力やコミュニケーション力を高める
- 金銭感覚・家計管理についての理解を深める
- 生活設計(住居・仕事・子育てなど)について話し合う
- 夫婦の役割分担や家族との関係性を整理する
講座の主な内容
結婚生活準備講座では、以下のようなテーマが扱われます。
1. 結婚観・価値観のすり合わせ
2. コミュニケーション・問題解決
3. 家計管理・お金の教育
4. 生活設計と将来のビジョン
5. 家族関係とパートナーシップ
【対象となる人】
- 結婚を考えているカップル
- 婚約中・入籍予定のふたり
- 再婚を予定しているカップル
- 将来を真剣に見据えた交際中のふたり
形式と受講スタイル
- 対面形式:講師と直接対話しながら学ぶ
- オンライン形式:自宅で受けられる柔軟な学び方
- 個別カウンセリング:二人の状況に合わせたオーダーメイド指導
- グループ講座:他のカップルと一緒に学ぶスタイル
目次
結婚観・価値観のすり合わせ
結婚は二人の人生を重ねていく大きな転機です。しかし、育った環境や生活スタイル、考え方が異なる二人が一緒に生活をするには、互いの「結婚観」や「価値観」を理解し、すり合わせていくことが欠かせません。
このパートでは、将来のすれ違いや誤解を減らすために、事前に確認・共有しておくべきテーマを具体的に話し合います。
主なテーマと内容
1. 結婚の目的・理想像
- 結婚に対する考え方:「安心感」「家族を作る」「経済的安定」などの目的を確認。
- 理想の夫婦像:「役割分担」「仕事と家庭のバランス」「老後のあり方」などを共有。
2. 生活スタイルの希望
- 朝型/夜型、外食派/自炊派、掃除の頻度や整理整頓の意識。
- 趣味の時間やひとり時間の取り方。
3. 家庭内の役割分担
- 家事(掃除・料理・洗濯など)や育児に対する考え方。
- 収入に関わらず、どのように役割を分けるか。
4. 金銭感覚・家計の運営
- 共通口座の有無、生活費の分担方法。
- 貯金・保険・大きな買い物の決定権。
5. 家族との関係
- 両親・親族との距離感や介護への考え方。
- 帰省の頻度や冠婚葬祭の対応。
【講座内での進め方】
- ワークシートやチェックリストを活用:質問に答える形でお互いの考えを整理。
- ファシリテーターが仲介:意見がぶつかった際に中立的な立場で進行。
- ロールプレイや実例紹介:よくある夫婦間トラブルとその解決策を学ぶ。
【すり合わせの効果】
- 「こんなに考え方が違うとは思わなかった」という驚きと発見。
- 小さな違いが将来の大きなストレスにならないよう予防できる。
- 話し合いの経験そのものが、信頼関係の構築につながる。
コミュニケーション・問題解決
結婚生活において、日常的な会話や意思疎通は信頼関係の基盤となります。しかし、価値観の違いや感情のすれ違いは避けられません。
だからこそ、「話し方」「聞き方」「問題の向き合い方」を結婚前に身につけることが、安定した関係づくりに大きく役立ちます。
この講座では、ただ話すだけでなく「伝え方」と「受け止め方」を意識したコミュニケーションを学びます。
主なテーマと内容
1. 相手を傷つけない伝え方(アサーティブ・コミュニケーション)
- 自分の気持ちを正直に伝えながら、相手も尊重する伝え方。
- 批判的・攻撃的にならずに「私は~と感じた」と主語を自分にする表現練習。
2. 傾聴と共感のスキル
- 相手の話を遮らずに「聴く」姿勢の習得。
- 「それは大変だったね」「そう感じたんだね」といった共感の言葉を使う習慣。
3. ケンカや衝突への対応法
- 感情的になったときの「クールダウン」の方法。
- 問題の本質を整理し、「責める」ではなく「話し合う」練習。
4. 価値観の違いの乗り越え方
- 100%一致することを目指すのではなく、「落としどころ」や「納得の基準」を探す方法。
- 「どうすれば2人が納得できるか」を問い続ける視点。
5. 継続的な会話習慣の作り方
- 毎週5分でも「話す時間」を意識的に確保する大切さ。
- 記念日や食事時間などに「ありがとう」を伝える習慣化。
【講座内での進め方】
- ペアワーク:実際にお互いの言い方・受け取り方を体験しながら練習。
- ロールプレイ:トラブルの場面を想定して、感情のコントロールや伝え方を学ぶ。
- フィードバック:講師や他カップルから客観的な視点で改善点を共有。
【期待される効果】
- 感情的な言い争いを避ける力が身につく。
- 思いやりある対話ができるようになる。
- 不満や不安をため込まず、自然に話せる関係に近づく。
家計管理・お金の教育
結婚後、夫婦間のトラブルで非常に多いのが「お金」に関するものです。収入、支出、貯蓄、価値観の違いが原因で、信頼関係に影響を及ぼすこともあります。
だからこそ結婚前に「お金」についてオープンに話し合い、ルールを共有することは、長い結婚生活を穏やかに保つために不可欠です。
講座では、基礎的な家計管理の考え方から、将来設計までを実践的に学びます。
主なテーマと内容
1. お金に対する価値観の確認
- 「節約派か?」「浪費しやすいか?」「投資に積極的か?」など、金銭感覚の違いを把握。
- 買い物の優先順位や、金額の大きい支出についての考え方を共有。
2. 収支のバランスと基本の家計管理
- 毎月の収入と支出の書き出し。
- 固定費(家賃・光熱費)と変動費(食費・娯楽費)の把握。
- 支出の見直しポイントや節約の工夫。
3. 夫婦の家計の分け方
- 「共通財布」か「個別管理」かの選択。
- 共通口座の開設、家計簿アプリの活用方法。
- 生活費や貯金の分担方法を具体的に決める。
4. 将来のライフイベントと資金計画
- 結婚式、マイホーム、出産・育児、教育費の見積もり。
- 緊急資金(予備費)の重要性と目安。
- 住宅ローンや奨学金返済などの長期負債の扱い。
5. 保険・投資・老後資金の基礎
- 医療保険・生命保険の必要性と種類。
- 初心者向けの資産形成・NISA・iDeCoなどの情報。
- 年金制度と老後の備え方。
【講座での学習スタイル】
- シミュレーション演習:月収・支出をもとに家計管理を模擬体験。
- チェックリスト:お金に関する価値観を可視化し、ズレを発見。
- ライフプラン表の作成:10年後・20年後を見据えた生活設計を図にする。
【期待できる効果】
- 価値観の違いからくるトラブルを未然に防ぐ。
- 目標(マイホーム・貯金目標など)に向かって協力しやすくなる。
- 将来に対する「安心感」を得られる。
生活設計と将来のビジョン
結婚とは、ただ「一緒に暮らす」だけではなく、「どのように生きていくか」を二人で計画していくことです。人生の中で結婚はスタート地点にすぎません。
仕事、住まい、子ども、老後といった様々なテーマについて話し合い、方向性をそろえておくことが、安定した関係と満足のいく人生を築くうえでとても大切です。
「生活設計と将来のビジョン」のパートでは、将来の暮らしに関わる具体的な設計や意思確認を行います。
主なテーマと内容
1. 居住地・住まいに関する話し合い
- どこに住むか(実家の近く/都市部/地方/転勤の可能性など)
- 持ち家か賃貸か、住宅購入のタイミング
- 二世帯住宅や同居の可能性と考え方
2. 仕事とキャリアの考え方
- 共働き継続か、出産後の働き方はどうするか
- 仕事と家庭の両立についての期待やサポートの希望
- 転職・起業・転勤などライフスタイルの変化への理解
3. 子ども・家族計画
- 子どもを希望するかどうか、その人数やタイミング
- 教育方針や育児への参加の仕方
- 不妊治療や特別養子縁組など、必要に応じた将来設計の検討
4. 生活リズム・価値観の調整
- 休日の過ごし方、趣味の時間、友人関係の在り方
- 家事・育児の分担と「忙しいときの支え合い方」
- ひとりの時間とふたりの時間のバランス
5. 老後の暮らし・長期ビジョン
- 定年後の働き方や生活スタイル
- 介護への考え方と準備
- お互いの両親との関わりとサポートのあり方
【講座内での進め方】
- 未来年表の作成:5年後・10年後・20年後と、具体的な出来事を予測して整理。
- ライフプランシート記入:夫婦それぞれが望む未来を書き出して共有。
- 話し合いのガイド付きセッション:中立的な立場の講師が対話をサポート。
【期待できる効果】
- 漠然とした将来が「具体的な形」になることで不安が減る。
- 将来的な意識のズレを事前に発見し、予防できる。
- どんな未来にも対応できる「チーム」としての結束力が生まれる。
家族関係とパートナーシップ
結婚は「本人同士の合意」だけでなく、両家のつながりを持つことで初めて社会的・文化的な意味を持つ場合も少なくありません。
日本の結婚文化においては、親族や義理の家族との関係づくりが結婚生活の安定に深く関わります。
また、夫婦間においても「良いパートナーシップ」を築くことが、長期的な関係を支える土台となります。このパートでは、家庭の中と外における人間関係をどう築くかについて学びます。
主なテーマと内容
1. 両親・義両親との関係性
- 両家の距離感(物理的・心理的)の希望とすり合わせ
- 帰省の頻度、イベント時の過ごし方
- 結婚式や顔合わせにおける配慮と配分
2. 親族・兄弟姉妹との付き合い方
- 冠婚葬祭や集まりへの出席・対応
- 親族トラブルが起きたときの連携
- お年玉・贈答など文化的な慣習への理解と調整
3. 将来的な介護や支援の考え方
- 自分の親・相手の親どちらも視野に入れた介護観
- サポートの程度、施設利用の可否など
- 経済的・感情的負担の公平性について話し合う
4. 夫婦間の信頼と協力の築き方
- 感謝を伝える習慣、労り合いの言葉
- 困ったときに助け合える「味方」の感覚を育む
- 主導権・意思決定のバランスと尊重
5. パートナーシップの継続的な見直し
- 定期的に「どう思っているか」「困っていないか」を確認する習慣
- 役割分担や生活ルールの見直しと合意形成
- 妊娠・出産・転職・病気など、生活の変化に応じた柔軟な関係構築
【講座の進め方】
- ケーススタディの検討:義理家族との関係トラブル例をもとに対処方法を学ぶ
- 感情表現のワーク:怒り・不満・喜びを伝える練習
- パートナーへの手紙の作成:将来に向けた思いや感謝を言葉にする
【期待される効果】
- 両家との付き合いに関する不安が軽減される
- 「家族になる」とはどういうことかを理解できる
- 信頼関係のある「対等なパートナーシップ」が築ける
「結婚生活準備講座」のある相談所
結婚を前提に交際しているカップルや、すでに婚約を交わしているふたりにとって、結婚生活の準備は大切なステップです。
お互いの価値観やライフスタイルを理解し、将来に向けた土台を築くために、「結婚生活準備講座」が注目を集めています。
特に、パートナーと一緒に受講できる講座は、より実践的な学びとコミュニケーションを促してくれる貴重な機会です。
以下では、パートナーと一緒に受講できる講座を用意している結婚相談所をご紹介します。
パートナーと受けられる結婚生活準備講座のある主な相談所
GFLマリアージュ
- 独自の「パートナーシップメソッド」を提供。
- 恋人関係から婚約前後のカップルに対応。
- 講座を通して相互理解と信頼関係を深めることを重視。
BRIFE(ブライフ)/TMS系列
- 「ふたりの新生活スタートセミナー」を開催。
- 顔合わせ、入籍手続き、結婚式準備など実用的な内容。
- 原則として二人同席の参加が前提。
プリマリタル・カウンセリング
- 恋人・新婚・再婚カップル向けの結婚準備講座。
- 性格診断などを取り入れた、価値観すり合わせ型の講座。
- オンライン・対面どちらでも対応。
その他の候補
- ナレソメ予備校:活動前の準備講座が動画形式で提供され、必要に応じてふたりでの受講相談が可能。
- アイ・キャン(大阪):婚活前の準備講座を月1回開催。オンライン開催もあり、同席可能かは要確認。