結婚相談所に入会すると、会員自身がデータベースで検索して申し込むだけでなく、担当カウンセラーから「この方はいかがですか?」と紹介を受けることがあります。
では、カウンセラーはどのような基準やロジックで相手を選んでいるのでしょうか。ここでは、相談所の内部事情に基づき、紹介の仕組みと判断ポイントを詳しく解説します。
1. 基本は「希望条件」からのマッチング
まず最初にベースとなるのは、会員が提示した希望条件です。
- 年齢・居住地・年収・学歴・職業など
- 婚歴や子どもの有無
- 喫煙・飲酒習慣など生活面
ただし、希望条件に合致する相手が少なければ、紹介が難航します。そのためカウンセラーは「条件を満たす人」だけでなく「近い条件の人」まで視野を広げて候補を探します。
2. データベース+カウンセラーの“目利き”
結婚相談所の多くはシステムで検索できる「マッチング機能」を持っています。これにより条件に合致する候補を抽出しますが、最終的な紹介ではカウンセラーの経験や直感が大きな役割を果たします。
- 過去の成婚傾向を踏まえた判断
「このタイプの女性は、年収よりも性格重視で選んでいる」など、過去のデータを参考にする。 - 会員の性格や価値観との相性
面談や日々のやり取りで分かる人柄を加味して選定。 - 活動のモチベーション
積極的に活動している相手を優先することで成立率を上げる。
【希望条件を“調整”する紹介ロジック】
カウンセラーは、希望条件をすべて満たす相手がいない場合でも、「条件の優先度」を見極めて紹介します。
- 優先度の高い条件は外さない
例:喫煙不可、子どもが欲しいかどうかなど。 - 柔軟にできる条件は幅を広げる
年収・年齢・学歴などは「近い条件」も対象に含める。 - 意外性を狙った提案
希望条件から少し外れていても、「価値観が近そう」「生活スタイルが似ている」といった理由で紹介することもある。
- 30代女性(条件:年収600万以上、35歳以下)
→ 該当者が少なかったため、年収500万台・37歳の男性を紹介。実際に会ってみると価値観が一致し、成婚。 - 40代男性(条件:初婚、同年代)
→ 同年代女性が少なかったため、少し年下で再婚歴ありの女性を紹介。双方が再婚への理解を持ち、成婚。 - 20代女性(条件:大卒、都内在住)
→ 条件外の専門卒・郊外在住の男性を紹介。会話が弾み交際に発展し、成婚。
目次
システム検索で条件を抽出
結婚相談所での紹介は、最初からカウンセラーの勘や直感で決まるわけではありません。まずはシステムを使って、会員が提示した条件に基づいた候補を抽出するところから始まります。
ここで使われるのは「婚活専用の検索システム」であり、会員の基本情報からライフスタイルまで多岐にわたるデータが管理されています。この検索工程こそが、紹介の出発点です。
1. システム検索で設定される主な条件
カウンセラーは、会員が希望した条件をシステムに入力し、候補を絞り込みます。代表的な条件は以下のとおりです。
- 基本プロフィール系
年齢、性別、居住地、婚歴、子どもの有無 - 経済・学歴系
年収、職業、学歴、勤務先の安定性 - ライフスタイル系
喫煙・飲酒習慣、趣味、休日の過ごし方 - 結婚観・家族観系
子ども希望の有無、同居や転勤に対する考え方
これらを組み合わせることで、希望条件に近い人をリストアップします。
2. システムによる検索の仕組み
- 条件完全一致型検索
入力された条件に100%合致する相手を抽出。 - 条件優先度を設定した検索
「必須条件」と「希望条件」に分けて抽出。例えば「喫煙不可」は必須、「年収500万以上」は希望、といった形で検索できる。 - 相性診断型検索(相談所によって搭載)
性格診断テストや価値観チェックの結果をもとに、相性が良い相手を優先して表示する機能もある。
【システム検索の限界と課題】
システムはあくまで「データに基づく抽出」であるため、以下のような課題もあります。
- 条件を厳しく設定しすぎると、対象者が数名しか残らない
- データに現れない「人柄」や「雰囲気」は反映されない
- 成婚につながるかどうかは、会って話してみないと分からない
このため、検索で候補が出た後は、カウンセラーが「会員の性格や活動姿勢」を加味して紹介相手を絞り込む工程が必要になります。
会員の性格・価値観・活動姿勢を加味
結婚相談所の紹介は、システム検索で条件を絞り込むことから始まります。しかし、そこに表示されるのはあくまで「データ上で条件が合致している人」です。
実際に成婚につながる相手を見極めるには、数字やプロフィールだけでは足りません。ここで重要になるのが、カウンセラーによる「性格・価値観・活動姿勢」の見極めです。
カウンセラーは面談ややり取りを通じて得た会員の人物像をもとに、システムの候補からさらに最適な相手を選び出しています。
1. 会員の性格を加味した紹介
- 内向的/外向的のバランス
積極的に会話をリードする人には、聞き上手なタイプを組み合わせる。 - 気配り・誠実さ
実際のやり取りで礼儀正しく誠実な態度をとる会員は、同じく誠実さを重視する人に紹介されやすい。 - 価値観との相性
「安定志向かチャレンジ志向か」「仕事中心か家庭中心か」など、性格タイプに合う相手を意識して選定。
2. 価値観の一致を重視した紹介
プロフィール上は合っていても、価値観がずれると成婚は難しいため、カウンセラーはここを特に重視します。
- 結婚観の違い
「すぐにでも結婚したい」か「ゆっくり進めたい」かのスピード感。 - 子どもに対する考え方
「必ず欲しい」「どちらでも良い」「望まない」などでマッチ度が変わる。 - 生活スタイル
共働き志向か、専業主婦(夫)希望か。休日の過ごし方や趣味も含めて調整。
3. 活動姿勢を見極めた紹介
結婚相談所では「積極的に活動しているかどうか」が成婚率に直結します。カウンセラーは次のような点を観察しています。
- レスポンスの早さ
連絡が早い人は誠実さと積極性が伝わり、同じ温度感の相手とマッチしやすい。 - お見合いへの前向きさ
条件に厳しすぎず「まず会ってみる」姿勢のある人は、出会いのチャンスが広がる。 - 努力や改善意識
ファッションやプロフィール写真をアドバイス通り改善する人は、紹介の優先度が上がる。
- 30代女性(消極的な性格)
自分から積極的に話せないタイプだったため、カウンセラーは「会話をリードできる男性」を選んで紹介。結果、自然に交際が進展。 - 40代男性(価値観重視)
「仕事第一」だが「子どもが欲しい」希望も強かった。カウンセラーは「共働きに理解があり、子育てを一緒に考えられる女性」を選定し、成婚へ。 - 20代女性(活動姿勢が積極的)
条件にこだわらず「まず会ってみます」と行動していたため、紹介数も増加。実際に条件外の男性と交際し、半年で成婚。
成婚につながりやすい相性を重視して調整
結婚相談所のカウンセラーは、会員の希望条件を尊重しながらも、そのまま条件一致だけで相手を紹介するわけではありません。
なぜなら「条件は合っているけれど、価値観がズレて成婚に至らない」ケースが非常に多いからです。
そこで重要になるのが「成婚につながりやすい相性」を見極め、条件を調整して紹介するというカウンセラー独自の役割です。ここでは、その調整の考え方と具体例を整理します。
1. 相性重視の調整が必要な理由
- 条件一致だけでは結婚は決まらない
年収・学歴・年齢などが理想的でも、会話のテンポや生活スタイルが合わないと交際は続かない。 - 長期的な生活を見据える必要がある
一緒に暮らす上で重要なのは、価値観や考え方の方向性。カウンセラーはそこを重視する。 - 本人では気づけない相性を補正
自分で選ぶと条件優先になりがちだが、第三者だからこそ「実はこの人の方が合う」という判断ができる。
2. カウンセラーが見る“相性ポイント”
- コミュニケーションの相性
・話しやすさ、会話のテンポ
・相手に気を遣いすぎず自然体でいられるか - 価値観の方向性
・金銭感覚(堅実派か消費派か)
・仕事と家庭のバランス
・子どもや家族に対する考え方 - 生活スタイルの適合性
・休日の過ごし方
・趣味の一致 or 許容できるか
・生活リズム(夜型・朝型)
【条件調整の方法】
カウンセラーは「必須条件」を守りつつ、次のように条件を広げて調整します。
- 年齢差を広げる
例:希望が「35歳まで」なら、「37歳まで」を提案。 - 年収や学歴を緩和
例:「年収600万円以上」を「500万円以上+将来性あり」に調整。 - 居住地の範囲を拡大
例:都心限定から「通勤可能な近県」に拡大。
- 30代女性の例
条件:「35歳以下・年収600万以上」。 → 実際に紹介されたのは37歳・年収550万の男性。
→ 会ってみたら価値観や会話の相性が非常に良く、半年で成婚。 - 40代男性の例
条件:「初婚・同年代」。 → 紹介は5歳年下の再婚女性。
→ お互いに再婚への理解があり、結婚観が一致して成婚。 - 20代女性の例
条件:「大卒・都内在住」。 → 紹介は専門卒・郊外在住の男性。
→ 実際には生活リズムや趣味がぴったり合い、交際から成婚へ。