結婚相談所での活動を経て、晴れて「成婚」というゴールを迎えるのは、大きな喜びの瞬間です。
しかし、この成婚はあくまで「結婚に向けた最終合意」であり、入籍や挙式そのものを意味するわけではありません。
成婚退会後の動き方や準備の進め方によって、その後の結婚生活の安定度が大きく変わります。勢いのまま結婚を決めるのも一つの選択肢ですが、焦らず必要な準備を整えることが、長く幸せな生活への第一歩です。
1. 成婚の定義
多くの結婚相談所では、次のような状態を「成婚」としています。
- 双方が結婚の意思を固め、婚約またはそれに準ずる約束を交わした時点
- 同居や結婚準備に向けた具体的な行動を開始する段階
つまり成婚は「婚活のゴール」ではなく、「結婚生活のスタート地点」にあたります。
2. 成婚後すぐに結婚するべきかの判断ポイント
- 生活基盤の準備
- 新居の有無、転居の必要性、職場や通勤環境の調整
- 経済的な安定
- 貯金額、結婚式や新生活費用の見通し
- 家族関係の調整
- 両家顔合わせの実施状況
- 家族の結婚時期への理解
- 価値観や結婚観の一致
- 子どもに関する考え方
- 働き方や生活スタイルの方向性
- 健康・生活習慣の確認
- 持病や食生活、生活リズムの相性
3. 成婚後〜結婚までの一般的な流れ
- 成婚退会
- 成婚料の支払い(必要な場合)
- 両家顔合わせ
- 挙式や結婚時期、姓の扱いなどを話し合う
- 婚約指輪・結婚指輪の準備
- 住まいの決定と新生活準備
- 結婚式や入籍日の決定
- 入籍・各種手続き
【成婚後に注意すべき点】
- 生活習慣や価値観のギャップ
- 家族間の意見の相違
- お金の管理ルール未定
- 周囲のスピード感に焦って判断を急ぐこと


目次
生活習慣や価値観のギャップ
結婚相談所で成婚に至るまで、お相手とは何度もデートや会話を重ねます。しかし、婚活期間中はお互いの「良い面」が強く出やすく、日常生活の細かな部分までは見えにくいものです。
成婚後に同居や結婚準備を進める過程で、初めて生活習慣や価値観の違いが明らかになることがあります。このギャップに気づかず結婚を急ぐと、後々の不満や摩擦の原因となりやすいのです。
生活習慣のギャップ例
- 家事のやり方・頻度
例:掃除は毎日したい派と週末まとめて派 - 金銭感覚
例:細かく家計簿をつける派とざっくり管理派 - 食事や食生活
例:外食好きと自炊派、食べる時間の違い - 睡眠や生活リズム
例:早寝早起き派と夜型派 - 休日の過ごし方
例:外出派と家で過ごす派
価値観のギャップ例
- 家族との関わり方
例:親との距離感、帰省頻度の考え方 - 子どもに関する考え方
例:何人ほしいか、教育方針 - 仕事に対する姿勢
例:共働き前提か専業希望か - お金の優先順位
例:旅行や趣味に使うか、将来のために貯蓄するか
ギャップを放置すると起きる問題
- 不満が積み重なり、感情的な衝突が増える
- どちらかが我慢し続け、関係がぎくしゃくする
- 家族や親族を巻き込んだトラブルになる
【ギャップを埋めるための対策】
- 同居前の短期生活トライアル
週末を一緒に過ごす、旅行に行くなどで生活パターンを観察 - 具体的な話し合い
「家事分担」「家計管理」「休日の過ごし方」などテーマごとに話し合う - 譲れない条件と柔軟に変えられる条件を整理
双方が妥協できるポイントを探す - 第三者の意見を参考にする
カウンセラーや既婚者の体験談から解決策を学ぶ

家族間の意見の相違
結婚は二人だけの出来事ではなく、両家の家族をも結びつけるものです。結婚相談所で成婚が決まり、お互いの気持ちが固まっていても、いざ両家の話し合いに入ると、価値観や考え方の違いが浮き彫りになることがあります。
家族間の意見の相違は、放置すると結婚準備や結婚生活そのものに影響を及ぼすため、早い段階で丁寧に調整することが大切です。
家族間で起こりやすい意見の相違
- 結婚時期や挙式スタイル
- 挙式を盛大に行いたい家族と、簡略化したい家族
- 入籍を急ぎたい親と、準備を重視したい本人たち
- 居住地や同居の可否
- 実家近くに住むことを望む親と、二人だけの生活を望む本人
- 親との同居を当然と考える家族と、別居希望の本人
- 姓の選択
- どちらの姓を名乗るかについての希望の違い
- 経済的なサポートや負担分担
- 挙式費用や新居購入資金の援助の有無や割合
- 子どもや将来設計に関する意見
- 子どもの有無、人数、育児方針などの価値観の違い
トラブルにつながる理由
- 家族は本人以上に「世間体」や「伝統」にこだわることがある
- 意見が食い違うと、本人たちでは解決しにくくなる
- 口出しや干渉が増えると、二人の関係にも影響を及ぼす
【意見の相違を防ぐ・解消するための対策】
- 両家顔合わせ前に本人同士で方向性を決める
- 事前に結婚時期や住まいの希望をすり合わせる
- 家族の希望を早めにヒアリング
- 成婚直後から両親にざっくりと意向を聞き、衝突を未然に防ぐ
- 意見が分かれたら第三者を介する
- 結婚相談所のカウンセラーや仲人が調整役になるとスムーズ
- 最終決定権は本人同士が持つ
- 家族の意見は尊重しつつも、二人で納得できる選択を優先する


お金の管理ルール未定
結婚生活において、お金の管理は最も重要なテーマの一つです。成婚後に結婚準備を進める中で、家計の管理方法を決めないまま入籍してしまうと、生活費の負担や貯蓄の仕方で衝突が起きやすくなります。
お金に関する価値観は個人差が大きく、曖昧なまま結婚すると信頼関係にも影響しかねません。成婚後は、結婚前に具体的なお金のルールを明確にしておくことが大切です。
なぜ管理ルールを決めないと危険か
- 生活費の分担が不明確
- どちらが何を負担するのか曖昧なまま生活を始めると、不公平感が生じやすい
- 貯蓄の目的や優先順位のズレ
- 片方は将来のために貯金重視、もう片方は趣味や旅行優先
- 予期せぬ支出でトラブル
- 家具や家電、冠婚葬祭など想定外の出費で揉める
- お金の使い方に不満がたまる
- 小さな出費の積み重ねが「浪費」と受け取られることもある
事前に決めておくべき項目
- 生活費の負担割合
- 収入比率で分けるのか、同額負担か
- 共通口座の有無
- 生活費や貯蓄用に共通口座を作るかどうか
- 貯蓄の目標
- 年間いくら貯めるのか、目的別に分けるか
- 自由に使えるお金の範囲
- お小遣い制か、各自管理か
- 大きな出費の決定ルール
- 家具・家電購入や旅行など、高額支出の相談基準
【実践的な決め方】
- 双方の収入と支出をオープンにする
- 月々の手取り額、固定費、借入状況を共有
- 家計管理のスタイルを選ぶ
- 共通口座方式、片方が一括管理、完全分担制など
- 試験運用してみる
- 入籍前の同棲や数か月の仮運用で問題点を洗い出す
- ルールは固定せず見直し可能にする
- ボーナスや収入変動、ライフイベントに応じて調整
周囲のスピード感に焦って判断を急ぐこと
結婚相談所での成婚は、自分たちにとって大きな節目ですが、同時期に婚活をしていた友人や家族の意見、SNS上で目にする華やかな結婚報告などが、無意識のうちにプレッシャーとなることがあります。
周囲のスピード感に引っ張られて入籍や挙式を急ぐと、準備不足や生活基盤の不安定さが後々のトラブルにつながる可能性があります。
焦って判断してしまう主な要因
- 同時期に婚約・結婚した友人の存在
- 「自分たちも早くしないと」という感情
- 家族からの期待や催促
- 孫の顔を見たい、早く安心させたいという親心
- SNSや周囲の成功事例
- 華やかな投稿を見て、自分も同じスピードで進めたくなる
- 結婚相談所からの提案
- 成婚後の期間を区切って動くことを推奨される場合
BOX4
【焦って結婚を決めた場合のリスク】
- 経済的な準備不足(新生活や挙式費用が足りない)
- 住居や転職など生活基盤の未整備
- 家族間の意見調整が不十分なまま進行
- 価値観や生活習慣のすり合わせ不足による結婚後の摩擦
【焦らず進めるための対策】
- 自分たちの優先順位を明確にする
- 入籍・挙式・同居の順番やタイミングを二人で決める
- スケジュールを「周囲基準」ではなく「自分基準」で設定する
- 他人の進捗は参考程度にとどめる
- 必要な準備項目をリスト化
- 住まい、貯蓄額、家族顔合わせ、結婚観のすり合わせなど
- 期限を設けつつ柔軟に調整する
- 目安を決めても、状況に応じて延期や見直しをためらわない

