結婚相談所の中には、成婚退会(交際相手が見つかり結婚を前提に退会すること)時に、お祝い金や特典を用意しているところがあります。
これは、会員の結婚成立を応援し、活動の満足度を高めるための制度で、金銭だけでなく、旅行券や記念品など多様な形で提供されます。
ここでは、主なお祝い金制度の種類や対象条件、注意点を整理します。
1. お祝い金制度の主な種類
- 現金支給型
- 成婚退会後、指定口座に現金が振り込まれる形式
- 支給額は1〜10万円程度が一般的
- 商品券・旅行券型
- 百貨店商品券、旅行券、ギフトカードなどを進呈
- 金額換算で1〜5万円程度が多い
- 記念品贈呈型
- フォトアルバム、ペアディナー招待券、記念写真撮影サービスなど
- 思い出作りを重視するタイプ
- 全国展開型の中堅〜大手相談所
- 例:加盟連盟の中でキャンペーンとして一時的に実施
- 地域密着型の個人経営相談所
- 成婚時に現金や商品券を直接手渡しするケースが多い
- オンライン完結型
- 成婚報告と証明書提出でAmazonギフト券などを付与
- 成婚退会の定義が相談所基準で満たされていること(真剣交際→結婚の意思確認)
- 一定期間以上の活動歴(例:入会から3カ月以上)
- 成婚相手が同相談所の会員であること
- 成婚報告書やアンケート提出の完了
【注意点】
- 全員が対象になるわけではない
- 短期間での退会や、他所の会員との成婚は対象外になる場合が多い
- キャンペーン期間限定の場合がある
- 「○年○月までの成婚退会者対象」と期間が切られていることも
- 税務上の取り扱い
- 高額なお祝い金は一時所得として課税対象になる可能性がある
- 成婚の定義の違い
- 相談所ごとに「成婚」の定義が異なり、対象外になるケースもある
【活用のコツ】
- 入会前に「成婚お祝い金制度の有無」と「条件」を必ず確認
- 現金以外の特典も金額換算して比較
- 期間限定キャンペーンを狙って入会時期を調整する



全員が対象になるわけではない
成婚退会のお祝い金や特典は、入会すれば自動的に誰でも受け取れるわけではありません。
多くの相談所では、制度の乱用防止や本来の目的(会員同士の結婚成立を応援)を守るために、細かい対象条件が設定されています。
以下は、特に見落としやすい「対象外になるケース」の具体例です。
1. 成婚相手が同じ相談所の会員でない場合
- お祝い金の多くは**「同相談所(または同じ加盟連盟)の会員同士での成婚」**を前提にしています。
- 紹介経由ではなく、知人や他の婚活サービスで出会った相手との結婚は対象外になることがほとんどです。
2. 活動期間が短すぎる場合
- 入会から成婚までが極端に短期間(例:1〜2カ月以内)の場合、制度利用不可とする相談所もあります。
- 理由は「制度を目的に入会してすぐ退会する」行為を防ぐためです。
3. 成婚の定義を満たしていない場合
- 多くの相談所では「プロポーズを受けて結婚の意思が固まった状態」や「真剣交際後に双方の結婚意思を確認」など、成婚の基準を細かく設定しています。
- 交際中で結婚が未確定の場合や、「とりあえず退会」状態では対象外です。
4. 事務手続きの不備
- 成婚報告書、アンケート、証明書(婚約指輪や婚姻届受理証など)の提出を義務付けているケースがあります。
- 書類未提出や期限遅延があると、お祝い金が支給されないことがあります。
【キャンペーン対象外の入会経路】
- 「紹介割引」「学割」「期間限定プラン」など他の特典を併用した場合、成婚お祝い金は対象外になるケースがあります。
- また、キャンペーン開始前に入会した場合や、終了後に成婚した場合は対象外になることも。
【途中退会や規約違反の経歴がある場合】
- 過去に短期間での退会や、規約違反(虚偽プロフィール、連絡無視等)があった場合、制度の利用を認めない相談所もあります。
キャンペーン期間限定の場合がある
成婚退会のお祝い金や特典は、常設制度ではなく「期間限定キャンペーン」として実施されるケースが多くあります。
そのため、実施期間や条件をよく確認しておかないと、せっかく成婚しても特典を受け取れないことがあります。
1. 期間設定が明確にあるケース
- 「○年○月○日〜○年○月○日までに成婚退会した方限定」という明確な期間指定がある
- この場合、成婚日ではなく退会手続き日で判断されることが多い
2. 入会日と成婚日、両方の条件があるケース
- 「キャンペーン期間中に入会し、かつ○年○月までに成婚退会した方」という二重条件
- 長期活動を前提にした制度のため、期限までに成婚しないと対象外になる
3. 季節やイベントに合わせた短期キャンペーン
- バレンタイン、クリスマス、ブライダルシーズン(春・秋)に合わせて短期間だけ実施
- 期間は1〜3カ月程度が多い
- このようなキャンペーンは予告なし終了や、予定より早く終了することもある
4. 定員制・先着制の期間限定
- 「先着○名まで」や「予算上限に達し次第終了」として、期間が短縮されるパターン
- 公式では期間が書かれていても、定員到達時点で締切られる
【期間延長や条件変更のリスク】
- 人気があれば期間延長されることもあるが、逆に条件が厳しくなる場合も
【活用のポイント】
- 入会前にキャンペーンの開始日・終了日・判定基準日を必ず確認する
- 「成婚日」か「退会日」か、どちらで対象判定されるのかを明確にしておく
- 短期キャンペーンは入会時期を合わせるため、逆算して活動スケジュールを組む
税務上の取り扱い
成婚退会のお祝い金は、結婚相談所から会員個人に支払われる金銭的利益であるため、税務上は「一時所得」に分類される可能性があります。
額が少額であれば課税対象にならない場合もありますが、条件によっては確定申告や納税が必要になるため注意が必要です。
1. 一時所得とは
- 継続性のない臨時的な所得(例:懸賞金、競馬の払戻金、謝礼金など)
- 成婚お祝い金は、仕事や事業の対価ではないため「給与」や「事業所得」ではなく一時所得にあたるケースが多い
2. 一時所得の計算方法
計算式は以下の通りです。
一時所得の金額 = (総収入金額 - 必要経費 - 特別控除額50万円) × 1/2
- 総収入金額:受け取ったお祝い金や特典の金額
- 必要経費:その収入を得るために直接使った費用(通常はほぼ0円)
- 特別控除額:年間50万円まで控除される
3. 実際の課税例
- お祝い金が年間50万円以下 → 他の一時所得と合計しても50万円以内なら課税なし
- 他の一時所得(懸賞当選金、保険満期金など)と合計して50万円を超える場合 → 超えた分が課税対象
- 成婚お祝い金 3万円
- 他の一時所得なし
→ 50万円以内なので課税なし、申告不要
- 成婚お祝い金 30万円
- 懸賞金 40万円
→ 合計70万円 → 70万円-50万円=20万円 → 20万円×1/2=10万円が所得税の課税対象
4. 商品券や旅行券も対象
- 現金だけでなく、商品券・旅行券・ギフトカードなども時価換算して一時所得に含まれます
- 「物だから非課税」ではない点に注意
【相談所側の説明は限定的な場合が多い】
- 税務の取り扱いは自己判断が基本で、相談所から詳細な税務アドバイスは受けられない
- 金額が大きい場合や他の一時所得がある場合は、税理士や税務署に確認した方が安心
【対応のポイント】
- お祝い金の受取日・金額を必ずメモして保管
- 他の一時所得との合計を年末に確認
- 50万円を超える可能性があれば早めに確定申告の準備
成婚の定義の違い
結婚相談所でいう「成婚」は、日常的な意味の「結婚」や「婚約」と必ずしも一致しません。
相談所ごとにルールや判定基準が異なるため、同じ状況でもある相談所では成婚扱い、別の相談所では対象外になることがあります。
この差を理解しておかないと、「成婚退会したつもりが特典対象外だった」という事態になりかねません。
1. 一般的な成婚の定義
多くの結婚相談所では、次のような状態を「成婚」とみなします。
- 双方が結婚の意思を固めている
- 真剣交際を経てプロポーズを受諾している
- 家族や親への紹介が済んでいる、または予定がある
ただし、この「意思確認」や「手続き」がどこまで進んでいるかの基準は相談所によって異なります。
2. 相談所ごとの成婚基準の違い
成婚基準のタイプ | 特徴 | 例 |
---|---|---|
プロポーズ承諾型 | プロポーズを正式に受け入れた時点で成婚 | 婚約指輪の授受や日程確定は不要 |
家族承諾型 | 双方の親への挨拶・承諾を経た時点で成婚 | 「親公認」が必須条件 |
婚約確定型 | 結婚式や入籍日が決定している状態を成婚 | 婚姻届の提出日や式場契約書が条件になる場合も |
交際終了=成婚型 | 真剣交際に入った後、結婚を前提に退会したら成婚 | プロポーズの有無は問わない |
【成婚の定義が影響するポイント】
- お祝い金や特典の支給可否
成婚判定が遅いタイプ(婚約確定型)だと、支給条件を満たすのが難しい - 活動期間
成婚定義が厳しいほど、成婚までの期間が長くなりやすい - 他サービスとの違い
IBJや日本仲人協会など加盟連盟ごとに定義が決まっており、同じ連盟なら基準が似ていることが多い
【よくある「定義違いによる勘違い」ケース】
- 真剣交際に進んだ時点で成婚だと思っていたが、相談所では「親への挨拶後」と定義されていて対象外になった
- プロポーズ承諾で成婚だと思っていたが、相手側が式場契約まで進めないと成婚扱いしない相談所だった
- 他社の会員と結婚が決まり、退会したが「同相談所内での成婚」ではないため特典なし
【事前確認の重要性】
- 入会前に必ず「成婚の定義」を文書や規約で確認する
- お祝い金や特典の条件と「成婚定義」が一致しているかを照らし合わせる
- 連盟加盟型の場合は、連盟の成婚基準もチェックしておく


