結婚相談所における活動では、「お見合いを申し込まれたけど気が進まない」「実際に会ってみたけど次に進みたくない」といった場面が必ず訪れます。
しかし、「相手に悪い気がする」「どう伝えたらいいのかわからない」と感じ、断ることに強い抵抗感を覚える方も少なくありません。
ここでは、断るのが苦手な人に向けて、トラブルにならず相手も自分も傷つけない「お見合い辞退」のマナーと対応法を、わかりやすく紹介します。
■ お見合いを辞退すること自体は非常に自然なこと
まず前提として、お見合いの辞退は「当然の権利」であり、結婚相談所でも想定済みの行動です。結婚という人生の大きな決断に向けた活動である以上、「合わない人を無理に受け入れる」ほうが失礼ともいえます。
- 相性が合わないと感じた場合
- 写真やプロフィールと実際の印象が違った場合
- 価値観や話し方に違和感を覚えた場合
これらはいずれも「断る」十分な理由です。
■ お見合い前に辞退する場合のマナー
- 返答はできるだけ早く
- 返答はカウンセラー経由で
- 丁寧な言葉で簡潔に
■ お見合い後にお断りする場合のマナー
- 「ありがとう」の気持ちは忘れずに
- 理由は伝えなくてOK
■ よくある不安とその対処法
「相手に悪く思われたらどうしよう…」
→ 結婚相談所では辞退は日常茶飯事です。相手も経験していることがほとんどで、恨まれるようなことはありません。
「何度も断ると印象が悪くならない?」
→ むしろ「合わない相手と無理に会って疲弊する」ほうが活動の停滞を招きます。自己基準を大切に。
「正直な気持ちを伝えたほうがいい?」
→ 感情や相性は言語化しづらく、余計に誤解を生むこともあります。やんわりと距離を取るのが最良の対応です。
返答はできるだけ早く
結婚相談所でのお見合い申し込みに対して辞退する場合、「返答スピード」は相手への最低限のマナーであり、あなた自身の印象にも大きく関わります。
お見合いを断ることそのものよりも、返答が遅れて相手を不安にさせることのほうが、関係悪化やクレームにつながりやすい点に注意が必要です。
■ なぜ早い返答が求められるのか?
1. 相手のスケジュール調整に影響を与える
- お見合いは基本的にお互いの予定を調整し合う必要があります。
- 返答が遅れると、相手は「調整のために予定を空け続ける」状態になり、無駄な時間を強いられてしまいます。
2. カウンセラーの業務にも支障が出る
- 結婚相談所では、あなたと相手、両者のカウンセラーが調整に関わります。
- 返答が遅いと、双方の調整業務が停滞し、他の会員の活動にも影響を及ぼす可能性があります。
3. 印象悪化や信頼低下につながる
- 「断るかどうか迷っている」のではなく「対応が遅い」と思われると、誠意に欠ける印象を持たれがちです。
- 特に、同じ相談所内で活動している場合、印象が間接的に共有されることもあります。
■ 返答の目安時間
- 理想は24時間以内:お見合いの申込を受けたその日中、もしくは翌日中には返答するのがベスト。
- 遅くとも48時間以内:2日以上放置すると「放置された」と感じる人が多く、信頼に関わります。
■ 応答が遅れるときの対処法
どうしても忙しい、体調不良、気持ちの整理に時間がかかるといった場合は、ひとまずカウンセラーに「保留中」の旨を連絡しておくと良いでしょう。
「今、少し立て込んでいて検討の時間が必要です。明日中にはお返事いたします。」
これだけでも、相手側の不安や誤解を回避することができます。
返答はカウンセラー経由で
結婚相談所を通じたお見合いでは、すべてのやり取りをカウンセラー(仲人)を通じて行うのが原則です。
これは、お互いが安心して活動できるように設けられた制度であり、特に「辞退や断り」の場面では、その意義が非常に大きくなります。
■ なぜカウンセラーを通す必要があるのか?
1. トラブルや誤解を防ぐため
- 自分で直接伝えようとすると、言い回しや表現によっては誤解や不快感を与えてしまう恐れがあります。
- プロのカウンセラーが仲介することで、柔らかく、角の立たない表現に調整して伝えてくれます。
2. 気まずさや心理的負担を軽減するため
- お見合いを断るのが苦手な人にとって、相手に直接伝えるのは大きなストレスになります。
- カウンセラーが間に入ることで、心理的負担が格段に軽くなり、冷静に次の行動に移りやすくなります。
3. 活動記録として管理されるため
- 相談所ではすべてのやり取りが記録され、今後のマッチングやサポートの参考にされます。
- 相談所を通さずに自己判断で対応すると、トラブル発生時に証拠が残らない・サポートできないという問題が起きる可能性もあります。
■ 返答時の流れ(辞退の場合)
お見合いの辞退を決めた際の一般的な手順は以下のとおりです。
- カウンセラーに辞退の意思を伝える
- 例:「〇〇様とのお見合いについてですが、今回は辞退させていただきたいです。」
- 必ず“丁寧なトーン”で。理由は簡潔でも構いません。
- カウンセラーが相手相談所を通じて伝達
- あなたに代わって、配慮ある言葉に整えてお断りを入れてくれます。
- 例:「今回はご縁がなかったということで、お見送りのご意向を承りました。」
- 結果が正式に共有される
- 両相談所間で情報が整理され、あなたにも完了報告が届きます。
【直接伝えるのはNG?(例外はある?)】
基本的には「すべてカウンセラーを通す」のがルールです。
ただし、すでに仮交際に進んでいる段階でLINEや電話を使っている場合などは、状況によって直接のやり取りが発生することもありますが、その場合でも辞退や交際終了の連絡はカウンセラーに一報を入れてからにするのが望ましいです。
丁寧な言葉で簡潔に
お見合いの辞退を伝える際に大切なのは、相手の気持ちに配慮しながらも、回りくどくならずに意図を明確に伝えることです。
丁寧すぎて曖昧になったり、逆に率直すぎてぶっきらぼうに感じられたりすると、誤解や不快感を与えてしまう可能性があります。
■ なぜ「簡潔」であるべきか?
1. 断る理由の掘り下げは不要
- お見合い辞退の場面で「なぜ断るのか」の詳細説明は求められていません。
- 具体的に伝えすぎると、相手を傷つけたり、余計な憶測を生んでしまいます。
2. カウンセラーも扱いやすくなる
- 相談所では多数のやり取りを迅速に処理する必要があるため、短く明確な意志表明が円滑な対応につながります。
■ なぜ「丁寧な言葉」が必要なのか?
1. 相手への敬意を示す
- 実際に会って話をした、時間を割いて申し込みをしてくれた、という事実に対し、一定の敬意を持って対応するのが社会的マナーです。
2. 相談所内での印象を保つ
- 断り方が雑だと、相手相談所から「対応が不誠実」と判断されることもあります。
- 特に同一相談所内では、他会員とのマッチングにも影響を与えかねません。
■ 実際に使える「丁寧かつ簡潔」な表現例
以下に、状況ごとの適切な言い回しを紹介します。
● お見合い申し込みを受けたが辞退する場合
- 「今回はご縁がなかったということで、お見送りさせていただきます。」
- 「誠に恐縮ですが、今回はご辞退させていただきたく存じます。」
● 実際にお見合いをした後で辞退する場合
- 「お時間をいただきありがとうございました。とても誠実な方でしたが、今回はご縁がなかったということで辞退させていただきます。」
- 「本日はありがとうございました。誠に申し訳ありませんが、今後につながるご縁とは感じられませんでしたので、お見送りさせていただきます。」
● カウンセラーに伝える際の一言例
- 「〇〇様とのお見合いについてですが、丁寧にご対応いただきましたが、私の価値観とは少し違うと感じましたので、今回は辞退を希望します。」
【NG例(よくある失敗)】
- 「タイプではなかった」「話が合わなかった」など、ストレートすぎる表現
→ 相手を傷つけるリスクがあるため避けるべき。 - 「もう少し考えさせてください(ただしその後放置)」
→ 検討中と見せて実質辞退している状態は、マナー違反になりがち。
「ありがとう」の気持ちは忘れずに
お見合い後に辞退の意志を伝える際、最も重要なのは「感謝の気持ちをきちんと表すこと」です。
どんなにお断りの内容が丁寧でも、「ありがとう」の一言が抜けているだけで、冷たく・無愛想な印象になってしまいます。
結婚相談所というフォーマルな出会いの場だからこそ、人としての基本的な礼儀=感謝の気持ちの表現が、信頼感につながります。
■ なぜ「ありがとう」が大切なのか?
1. お見合いは“お互いの時間を使った行動”
- 相手はあなたのために時間を空け、準備をし、実際に会いに来てくれています。
- たとえ相性が合わなかったとしても、その行動に対しては敬意と感謝を示すべきです。
2. 次のご縁に悪影響を与えない
- 感謝の一言があるかどうかで、「この人は誠実な活動をしているな」という印象が残ります。
- 相談所内でのフィードバックや紹介の可能性にも関係するため、人としての品格を示す要素でもあります。
3. 相手を傷つけない“クッション”になる
- お見合い後に断られるのは、誰でも少なからずショックを受けます。
- そんな時、「丁寧にお話しくださってありがとうございました」といった一言があるだけで、断られる側の心情が和らぐのです。
■ 実際に使える「感謝」を伝えるフレーズ例
お断り時に使いやすい、感謝を込めた表現をいくつかご紹介します。
● お見合い直後にカウンセラーに伝える際(辞退希望時)
- 「〇〇様にはお時間をいただき、誠実にお話しいただきました。感謝しておりますが、今回はご縁がなかったと感じました。」
● カウンセラーが相手に伝える文面の例
- 「このたびは貴重なお時間をいただき、誠にありがとうございました。とても丁寧にご対応いただきましたが、ご縁がなかったということでお見送りとなりました。」
● より柔らかく伝えたい場合
- 「素敵な方でしたが、結婚を意識したうえでの価値観に違いを感じました。お時間をいただき、感謝しております。」
【感謝を伝える際のポイント】
- 「出会ってくれてありがとう」の気持ちを意識すること
- 相手の人格を否定せず、「ご縁」という言葉で表現する
- 決して形式的になりすぎず、自分の言葉として丁寧に伝える
理由は伝えなくてOK
お見合い後にお断りをする際、「どうしても理由を説明しなければならないのでは?」と悩む方が多くいらっしゃいます。
しかし、結婚相談所におけるルールとマナーの観点から言えば、辞退の際に具体的な理由を伝える必要はありません。
これは相手への配慮であると同時に、あなた自身を守るための大切なポイントでもあります。
■ なぜ理由を伝える必要がないのか?
1. 相手を傷つけるリスクが高いから
- どんなに気を遣って伝えても、「価値観が合わなかった」「雰囲気が違った」などの言葉は、相手の自己否定につながることがあります。
- 言い方次第では「批判された」と感じさせ、トラブルの火種にもなりかねません。
2. お見合いは“選ぶ・選ばれる”前提の場だから
- 結婚相談所のお見合いは、「合わなければ断ってOK」という前提のもとで成り立っている活動です。
- そのため、辞退された側も「理由を聞かずに受け入れる」という共通認識を持っていることが一般的です。
3. カウンセラーが適切に処理してくれるから
- あなたの辞退の意志は、相談所のカウンセラーがやんわりと伝えてくれます。
- 「ご縁がなかったということでお見送りのご意向です」といった定型表現で、波風を立てずに処理されます。
■ 無理に理由を伝えようとすると起こり得ること
- 余計な誤解を招く
→ 例:「ちょっと雰囲気が違いました」→「どこがどう違ったのか?」と深掘りされる - 感情的な反応を引き出す
→ 例:「話し方が合わなかった」→ 傷ついた相手が相談所にクレームを入れる可能性 - あなた自身も疲弊する
→ 「納得してもらえない」「気を遣いすぎて苦しくなる」など、活動への悪影響も
以下のような言い方で十分丁寧な印象を与えつつ、理由を伏せたお断りが可能です。
カウンセラーに伝える例:
- 「〇〇様とのお見合い、誠実な方でしたが、今回はご縁がなかったと感じました。辞退希望です。」
相手に伝わる表現(カウンセラーが調整):
- 「このたびはお時間をいただき、誠にありがとうございました。今回はご縁がなかったということで、お見送りとさせていただきます。」
【どうしても理由を言いたいときの注意点】
どうしても「伝えないと申し訳ない」「何か一言添えたい」と感じる場合には、ポジティブな表現を選びつつ抽象的に留めることがポイントです。
- 「とても誠実にご対応いただきましたが、価値観の方向性に違いを感じました」
- 「素敵な方でしたが、将来のイメージが少し異なっていました」
それでも伝える場合は、カウンセラーに事前に相談し、言い回しを整えてもらうことをおすすめします。